そもそも、なんで「働く」んだっけ?
~ニート株式会社の実験と冒険~
現在観測 第20回
「俺の方が正しい」と、
ニートは言った
結論から言えば、僕たちにとって一番大切なのは、働けているかどうかではなく、社会と接続できているかどうかなのだと思います。
実際、時間を持てあましたニートたちが会社をつくって取締役になったからといって、やっぱり簡単にお金を稼げたりはしなかったし、普通の社会人が体験できないような面白い仕事や「おいしい」仕事にありつけたりするわけでもありませんでした。
そして、自分たちで会社を経営することに限界を感じて、普通に就職したり、バイトをするメンバーも出てきました。案外、会社や組織に雇われるというのは、幸せなことなのかもしれません。社会には、
一方で、会社というものは案外簡単につくれるんだということを知って、独立するメンバーも出てきました。もちろん、NEET株式会社の中で新しいことをはじめて、いろいろ悩んだり苦労したりしているメンバーもたくさんいます。商品をつくったけど、全然売れなかったり、チームメンバーと喧嘩したり、途中でもう嫌になったり。
NEET株式会社では、毎日誰かと誰かが衝突していました。すぐに言い合いや喧嘩がはじまり、お互いに一歩も譲らない。
そしてそれは、いかにして儲けるか? 事業を成功させるか? というお金のことについてではなく、お互いの理屈や考えの優位性や「プライド」をめぐる戦いでした。
例えば、誰かが新しいサービスを考えて企画書をつくり、それをみんなに公開すると、「このデータの前提がおかしい」「これは条例やモラルに反する可能性がある、知識が足りなすぎる」といった指摘がやみません。
そこにあるのは、「俺の方がもっと詳しく知っているぞ」という優位性の主張でした。この主張をめぐる争いは、まさに人間としての営みの真骨頂であったように感じます。